Love is destructive.

GOD'S IN HIS HEAVEN. ALL'S RIGHT WITH THE WORLD.

たまに思い出す人、会ったこともない戦友のこと

数年前になるか。私が今よりもダメ人間で、落ち込みが激しくて、将来のことを考えるだけで夜な夜な枕を濡らしていたときのことである。

ある日、私はいつものように「自分と同じ境遇の仲間」を探していた。私と同じように苦しんでる人のことを見て、知って、なにか少しでも自分を奮い立たせたり、血肉とすることができたらいいと思ってのことであった。

世の中っていうのは不思議なもので、同じ性質の人間は自然と惹かれ合うらしい。特にインターネットやソーシャルネットワーキングサービスではそれが顕著に思う。「同じ苦しみを味わう人」「自分と似ている人」を探していて、とうとう私はひとりの女性を見つけた。顔も見たことがないのであるから、本当に女性なのかどうかも怪しいが、とにかくその人の自己紹介では女性とのことであった。

彼女はブログを始めたばかりの人であった。日頃の苦しみや努力を記し、それを公開することで、「努力しなければならない環境」を作っていた。本気で痩せたい人が、周囲の人間にダイエット宣言をするようにである。

そんな彼女を見つけた私は、彼女のブログにコメントを残してみた。すると、彼女の方から返信があり、私のコメントが多少なりとも彼女の努力のモチベーションになっていると言ってもらえた。その日から、私は彼女を応援しながら、彼女と一緒に頑張ることを決めた。

初めてコメントをした日から数ヶ月が経過した。彼女は彼女なりに頑張っている。私も私なりに頑張っている。しかし段々と彼女の書く文章から、苦しみが感じ取られるようになってきた。おそらく彼女も私と同じで、もともと努力の苦手なタイプで、マラソンのように頑張り続けることがしんどく感じる時期に差し掛かっていたのであろうと思う。

時を同じくして、私の方も苦しくなっていた。努力を始めたのはいいが、果てのない荒野を走っているようで、しんどくなっていた。また、私という人間は「一度やり始めると燃え尽きるまで追い詰めてしまう」性格なのであるが、それがここでも発揮されてしまった。スタートダッシュを張り切りすぎて、ガス欠状態に陥ってしまった。彼女のブログへのコメントが少なくなり、数週間コメントを出来ない状態が続いた。

時期的な問題もあり、次第に彼女はブログを更新しなくなりつつあったが、そのタイミングと私の苦境とが重なってしまったのであろう。とうとう彼女のブログが更新されることはなくなってしまった。毎週のように励ましの声をかけて一緒に頑張ってきた。そんな彼女が唐突に消えてしまった。いや、私が消してしまったのかもしれない。それが本当に辛かった。

あのときもっと彼女を気遣ってあげられたら、今でもいっしょに頑張り続けられていたであろうか。そう思い返すと、後悔の念が押し寄せてくる。どうして背中を押してあげられなかったのか。どうして支えてあげられなかったのか。どうにも自責に駆られてしまい、仕方がない。

彼女は今どうしているであろうか? あの後、また頑張ることが出来たのであろうか? 彼女自身の目標は達成できたのであろうか? 生きているのであろうか? 時々彼女のことを思い出す。「今日も頑張ろうね」「一週間いっしょに頑張ろ」彼女は読んでくれたのであろうか?

ブログは今も残っている。ブックマークから消せないまま。

最後のコメントは「管理人に承認されるまで非表示」となっている。